夏は葦戸に入れ替えて 2013

一昨年の夏、葦戸(よしど)について木工所ブログに綴りました。

 

「ありがとう。  ありがとうね・・。」

お客様からの心温まる言葉を通じて、ふと私が子供の頃に感じた記憶が蘇りました。

<木工所ブログ  「夏は葦戸に入れ替えて」

 

 

 

地域性や土地による文化はあるものの、一昔前の日本で葦戸は珍しいものではなく、夏になると何処の建具屋も忙しいくらい注文に追われた時代がありました。

近年では空調(エアコン)による涼を取るようになったことで、風をとおす引き戸は現代の暮らしに合わなくなり、だんだんと必要とされなく成りつつあります。

文明の利器により失われていくモノは無数にあると言われますが、葦戸もまた例外ではありません。 作り手としては寂しいと言えど、私自身も今やエアコンのない暮らしは想像しがたいものです。。

 

 

葦張り

<葦簀(よしず)の張りこみ>

 

 

 

この夏、木工所ブログを読んでくださった全国の方から自分でも驚くほどたくさん、葦戸についてのお問い合わせをいただきました。

無くなるかもしれないと思っていた日本建築における引き戸の意匠。 時には一枚も作らない(注文のない)年もありましたが、今年は地元をはじめ広島や関西といった県外のお客様からもご注文いただきました。

「せっかく作るのなら・・」ということで、日本の銘木杉・ヒノキを使った高級葦戸のご依頼が多かったことも驚きのひとつです。

 

 

葦戸(夏障子)

 

 

葦戸(夏障子)

 

 

葦戸(夏障子)

<三木市 I様邸 ヒノキの葦戸>

 

 

 

葦戸(よしど)は別名「夏障子」とも言われます。 (地方によって「簀戸(すど)」とも言う。)

6月からはお部屋も衣替え。 夏は障子や襖をはずして葦戸に入れ替えることで強い日差しをさえぎり、心地よい風を取り入れます。 透明感のある葦(よし)は見た目にもやっぱり涼やかですね。

 

 

「おばあちゃん家にあったんよ!」  「実家にあって、夏休みはいつもこれだったなぁ。。」

葦戸そのものに懐かしさを覚えるお客様もおられ、建てつけ納品に伺うと本当に待ちに待ったお顔で私たちを迎えてくださいました。

子供のころ、知らず知らずに触れていた夏の風物詩。 私が見て感じた景色を、お客様も同じように感じておられたのです。

 

 

 

葦戸。

昔のように誰もが欲しがる引き戸では無くなってしまいましたが、少しでもその良さ・文化を引き継いでいけたらと思います。

技術も在り方も、伝えることこそ日本の職人としての使命・・。

 

この度ご注文くださったお客様、ほんとうにありがとうございました。

日本の意匠はまだまだ捨てたもんじゃない!! そんな底力を改めて感じた2013年夏の思い出です。

 

IMG_1610

 

 

 

 

 

 

追記

I様、腰痛だいぶよくなりました。。。

大変お世話になり、感謝の言葉もございません。

またお会いできるのを楽しみにしております。

組子制作 吉原敬司

 

 

2013年08月25日

カテゴリー : 建具name施行事例